「喫煙」が健康にとっていいことは、何ひとつありません。
今まで、リスクとして肺がんなどの呼吸器系の疾患が注目されてきましたが、最近は、喫煙が直接、動脈硬化に影響して脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞などの強力なリスクとなることが認識されるようになってきました。
7月中旬に行われた「日本動脈硬化学会」でも、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)との関連を指摘する疫学的な報告が相次いで、喫煙がメタボリックシンドロームのリスクを倍増させることもわかってきました。
1990年代に、たばこの害についてまとめた米国の調査では、肺がん、喉頭(こうとう)がん、口腔(こうくう)がん、食道がん、膀胱がん、それに、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などに加え、心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患の発症、さらに、あらゆる心血管病の死亡リスクとの因果関係が示されています。
そのため、日本のがん治療学会はじめ、呼吸器学会、循環器学会なども軒並み「禁煙宣言」をしていますが、動脈硬化に関連しても、日本動脈硬化学会では、「エビデンス(科学的証拠)レベルA」の扱いで「喫煙は冠動脈疾患、脳卒中の危険因子」と、うたっています。
こういう実態は、米・フラミンガム研究はじめ、いくつも報告されていますが、日本でも福岡・久山町研究で実証されています。
5万人以上を対象に追跡調査した「NIPPON DATA80」では、脳卒中死亡については、喫煙者は非喫煙者に対し、その相対危険度が、21本以上吸う人は2.17倍、冠動脈疾患(男性)死亡では、4.25倍でした。
ほかにも、「足の切断に至る閉鎖性動脈硬化症や手足のバージャー病(閉塞性血栓性血管炎)などに強く影響して、脳梗塞、くも膜下出血のリスクも高くなる」と指摘されています。
また、厚生労働省のコホート研究でも、くも膜下出血は非喫煙者の4倍のリスクとなるうえ、冠動脈疾患の発症危険度は、非喫煙者と比較して男性約4倍、女性約3倍となるといわれています。
ところが、年齢が高くなっても喫煙をやめれば、リスク減の効果は抜群なのだそうです。
「Surgeon General Report(米国軍医総監報告)」に示された疫学調査では、50歳までに禁煙すると、65歳までの15年間で死亡のリスクが半減。禁煙は、あらゆる病気のリスクを、年を経るごとに減らすことになります。
日本のデータでも、例えば筑波大学グループの研究では、「10年ぐらいたばこを吸わないでいると、完全に吸わない人と同じに戻る」としています。
こうした疫学結果は、日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2007年版)にも収載され、「心筋梗塞後の禁煙でも死亡率を30〜60%まで減らすことができる反面、喫煙を続けた場合は、再発症のリスクが3.1倍となる」とし、糖尿病に関しても「1日20本以上吸う人は、非喫煙者に比べ、2型糖尿病の発症が約1.6倍多い」という海外のメタ解析もあるようです。
「J−LIT(日本脂質介入試験)」研究では、女性の方が喫煙のリスクが高いそうです。
冠動脈疾患の発症リスクが、女性2.2倍、男性1.2倍となっています。
妊婦に関しては、「妊娠3,4カ月前にたばこをやめると、低体重児の出産が減り、たばこを吸い続けると、未熟児で生まれる危険性が高くなる」そうです。
受動喫煙で吸うたばこの煙の量は、100分の1にすぎませんが、動脈硬化との関連については、「直接吸っている人が8割リスクが高くなるのに対し、受動喫煙でも3割上昇する」というデータを提示しています。
吸うか吸わないか、周りの人にも影響することは間違いないようですね。
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